時間：2025年7月21日

ETA2892ムーブメント、スイス時計界の伝説。

ETA2892の誕生と進化

ETA2892は1975年、伝説的なデザイナーでありETAの元社長でもあったアントン・バリー（Anton Bally）によって開発されました。彼の影響力は非常に大きなものでした。

初代2892：直径28mm、厚さわずか3.6mmという薄さ。玉軸受け（ボールベアリング）式自動ローターを採用。振動数は18,000振動/時（vph）、パワーリザーブは42時間。シンプルかつ頑丈な設計が特徴でした。
1983年：第2世代2892-2：直径を25.6mmに縮小。振動数を28,800vphに向上させました。しかし、巻き上げ効率はやや低いという課題が残りました。
1996年：第3世代2892-A2の登場：自動ローターのエッジ角度を小さくし、重量を増加。支えの柱（サポートポスト）を宝石軸受に変更。これにより安定性が大幅に向上し、巻き上げ効率も改善されました！
ETA2892の性能と仕様の詳細

初代2892：性能は安定していましたが、巻き上げ効率は標準的で、日常使用に適していました。
第2世代2892-2：高い振動数を実現しましたが、巻き上げ効率の低さが課題となり、後に改良版に置き換えられました。
第3世代2892-A2（性能の最高峰）：
グレードが細分化され（Standard / Elaboré / Top / Chronometer）、高級モデルや天文台検定モデルに対応。
日差は-4秒/+6秒に調整され、非常に高い精度を実現。
パワーリザーブ：42時間
自動巻き方式：両方向巻き上げ（バイディレクショナル）
宝石数：21石
テンプ（ひげゼンマイ付き天輪）の材質：初期はニッケル製、後に温度変化に強いグリキュドール合金（Glucydur）へ変更され、安定性がさらに向上しました。
ETA2892を採用するブランドと実用例

多くの高級ブランドrasupakopi.comが採用：
万宝龍（モンブラン）、ジン（Sinn）、ベル&ロス、オリス、マイモ（Maurice Lacroix）、モバード（Baume & Mercier）、ブルガリ、ウブロ、パネライ、シャネル、ユリスナルダン、タグ・ホイヤー、ブライトリング、IWC（インターナショナル・ウォッチ・カンパニー）、カルティエなど。

オメガとロンジンも基幹ムーブメントとして採用し、後にこれを改良・発展させて、より高級な独自の主力ムーブメント（例：オメガ コーアクシアル 2500/8500系、ロンジン L888系）を開発しました。
現在の代替品：セリタ（SELLITA）社のSW300ムーブメントは、2892-A2とほぼ互換性があり、性能も非常に似通っています。さらに宝石数を増やし（通常23石）、パワーリザーブを56時間にまで向上させたモデルも登場しており、非常に優れた代替品となっています。

前のページ: 本物の月隕石から作られた2つの月を特徴とし、スピードマスターの輝かしい宇宙との関わりを物語る1本です。